2017/07/27

これは酷い・・・

・・・気持ちは判るが、一寸ボり過ぎな気がするのは気のせいかな?
まぁ ケチるなら音質語るな、と云うのも理解出来なくは無いのだが、ココに至るとね・・・
タイムドメインスピーカー組み立てキットLabKIT(ラボキット) SPK-080 \79800 - Amazon 
この内容で、要組み立てで、この価格ってのは・・・
もはや特許を傘に権利を乱用しているようにしか見えない、或いは 部品調達の努力をしているのか、疑わざるを得ない域。
これなら、少しDIYと電子回路に造詣ある向きであれば、
同じ様なモノを自作して済ませるだろう、そのほうが好きなチューニングで愛着も涌くと云うモノだ。
スピーカーユニット以外は、多少拘っても二束三文で済む事実。
確かに、それを自前で製作し、無断で販売すれば、間違いなく特許権の侵害だ。
しかし自分で使うモノを仕立てるだけなら、同社は何ら権利を主張出来ないと理解しているのか?
自社製品を購入して貰った上で 且つ、広く普及しない限り、成功は無いのだ。
その様な流れに誘導出来なければ、上位たる高額商品も早々掃けはしない。
拘りありきでイイ物だけを作った処で売れる時代では無い事実は、否定する要素も無いかと思う。
拘りなく惰性でメーカーやっているよりは遥かに良いのだが、会社を維持出来ずに消えるのでは、意味が無い。
未だに、目先の利益ばかり追うビジネスの思考が根深い昨今・・・
単価が大きいブランドとして確立してしまえば勝ち? いつの時代の発想だ?
日本の この手のベンチャー、大手企業譲りな 大いなる勘違いとは、この点だ。
資本規模が知れている自覚、どれだけあるのか? 立ち回りを少し考えるべきである。
何より、自社製品最大の問題点を、上述製品で露呈している事実に、気付いていないと思われる点が致命的だ。
コレは、前述の通り、自作を模索していて得た結果であるのだが、
TIMEDOMAIN LAB社は、自社が主張する [タイムドメイン型]構造 を満たしていない。
同社の製品を購入し、その音を堪能している向きには、云っている意味が判らないだろう。 ナニしろ、評判に足るだけの音は、恐らくは出ているハズであるからだ。
では何が問題であるのか?
それは、公式サイトにある解説中の概念図をベースに特許を取得していると仮定して、
同社の製品に実装されている "スピーカーユニットの構造" が、特許内容の概念に準じていない事。
TIMEDOMAIN LAB公式サイトでの主張が正しいと云うのなら、タイムドメイン型スピーカには、 市販されているスピーカーユニットは一切採用出来ないコトが、暗に示されているからだ。
では、ココなきつねの見解を 判り易いカタチで証明するとしよう。
先ずは 一般的スピーカーとタイムドメイン型とを比較解説した同社サイト の [図5] [図6] [図7] を見て欲しい。
許諾を得てログにしている訳では無い為、ココに画像を掲載する訳にはいかない、各位で リンクより公式を参照願いたい。
[図5 ダイナミックスピーカーの概念図]では、
一般的な [スピーカーユニット] が図解されている。
 これは一旦 そのまま受け流すとして、
[図6 従来型スピーカーの概念図]は、
箱型の [エンクロージャ]の状況と欠点を模式化したモノ。
 云わずもか な内容であり、これもスルーしていい。
[図7 タイムドメイン型スピーカーの概念図]・・・
これも、同社が持つ構造特許に関連した理論を模式化しただけ。
 何ら不都合な点は無い。
・・・まぁ [図6] と [図7] を見て、本文を読み解けば、察しの良い向きなら気付いたかもしれないが、このまま続ける。
[図6] と [該当する本文の一節] で 一旦全否定し、
その問題点を解消した [図7] で著されている状態で、同社は特許を取得したと思われる。
もしそうであるとしたら、実際の製品に その特許内容が正しく反映されていないと考えられる・・・
つまり、現在の TIMEDOMAIN LAB社製 [タイムドメイン型スピーカー]は、自社特許の構造を満たしていない事に。
ここまで書いて まだ理解していない向きが居ると難がある、因ってドコが問題かも文字にしておく。
[図5] は 一般的な [スピーカーユニット]だ、同社製品も同じ構造のモノを採用している・・・ そもそもコレが間違いであるのだ。
[図6] で、[スピーカーユニット]後部(磁石部位)も振動し ノイズの原因となる と主張しているにも関わらず、同構造の
[スピーカーユニット]を用い、[仮想グラウンド]なる支柱で [スピーカーユニット]後部を固定している としている・・・
だがどうだろう?
[仮想グラウンド]を支える土台となっているであろう [ディフューザー]は、共振を抑えた上で支える構造は持つようだが、
[仮想グラウンド]のみで、[スピーカーユニット]が固定されているワケでは無い。

[スピーカーユニット]の[フレーム]が無ければ、横方向の固定が成立しないのだ。
ツマり 今現在同社が、
[タイムドメイン型] として高額販売している製品は、実は [ボックスエンクロージャタイプ] と 本質が変わらないと云うコト。
もし、同社特許の主張を正しく解釈するなら、
[コーン]は [ダンパー]のみで支えられ、[コーン]の淵を支える[エッジ]は、筒形他類する系状のエンクロージャに、
直接固定され、スピーカーのドライブユニットとは完全に分離している必要があるのだ・・・
要するに、一般的な [スピーカーユニット] にある [エッジ]を支える [フレーム]が消えると云う事。
しかしこれを、何も考えなく そのまま具現化した日には、極めて扱い辛い[スピーカーユニット]となってしまう。
当然、件のキットの様な、手軽な構造物で一般に提供し 組み立てさせるなど、とても適うモノでは無い。
それは、スピーカーを自作/解体メンテナンスした経験がある向きなら、察するに難くないかと思う。
結果としての音質云々は別として、現在の設計のまま、特許で示される概念を満たすコトは、不可能であると指摘しておく。
同社 [タイムドメイン型スピーカー]製品の現状を云うのなら、
凡そ特許を主張する権利を有していないモノを、マニアに高額で売りつけている と判断されても、
法的には 否定出来ない状態にある。
少なくとも見た目だけ、意匠だけが 特許内容を満たし、その実、身が伴っていないコトになっている。
ここなきつねは、数多ある同種の特許に依存する事無く、[タイムドメイン型スピーカー]を 簡易 且つ、安価に
実現可能な [スピーカーユニット]として実現する方法に目処を付けた。
気が向いたら試作を楽しむ予定だが、それまでは その情報の公開の予定は無い。
ただ、3wayフルサイズありきでスピーカーの選定を検討していた身としては、
この様な製品の提案は極めて刺激となった点、TIMEDOMAIN LAB社には、素直に感謝したいと思う。
そこで、現状の タイムドメインスピーカー組み立てキットLabKIT(ラボキット) SPK-080 の改善すべき点を指摘しておこう。
[LabKIT-SPK-080ユニット受け]
更に軟質なラテックスを採用し、[クッションスポンジ]を不要にする。
[LabKIT-SPK-080ベース]
・硬質ゴムへ移行し、LabKIT-SPK-080ディフューザーと一体化。
・加工精度で固定用イモネジを不要とする。
・[スパイクボルト]を廃し、一般的なインシュレーターとスパイクのセットを使用可能な形状に。
・ラインナップ拡充
Φ100mmのパイプ向けも投入するべき、合わせたユニットを提供するのもアリだろう。
あの価格で市場に出すと云うのなら、本来このくらいは最初から やっておくべきだ。
[LabKIT-SPK-080ユニット受け]に至っては、単に 3Dプリンター使いたかっただけとしか思えない節もあるしな。
ここまでやっても残念ながら、多少改良されるだけで、本質は一切改善しないのだがね・・・
とまぁ、総じて辛口な意見となってしまったわけだが、恐らく音質自体は 多くの賛同を得られている商品なのだとは思う。
しかし 特許とは、得られる権利の分、その内容に応じた責任も伴う。
概念や理論で形状特許を獲得し、それを製品にしている以上、その責任は果たすべきだと考える。
尚・・・
TIMEDOMAIN LAB社が取得していると思われる特許の内容が、
実際の製品の通り、一般的な[スピーカーユニット]を載せる構造であるとしたら、
概念通りの[タイムドメイン型スピーカー]の特許を、他者に取得されてしまう危険性も、ココに添えておきたいと思う。

その場合でも、TIMEDOMAIN LAB社の持つ構造/意匠特許の権利自体は微塵も揺るがないのだが、
概念通りの製品が他社特許で登場し、評価を得る結果となった場合、その影響での損失も否定出来ない。